あらすじなんかは、他のレビューに任せるとして、ここでは本当にネタバレありの感想だけで。すみません。
ところで今年の夏はめちゃくちゃに暑かったですね。私はちょうどその暑さの最中にこの本を読んだので、主人公達が砂漠をさまよう場面にマジ共感できました。
拙ブログをご覧の諸氏も、もしこの本を読まれる場合は来年の夏を待って、できればエアコンなしでお読みになると、登場人物たちの気持ちとシンクロできるかもしれません。
あっ、でも、ちゃんと水分はとりましょうね!健康を害してまで登場人物たちにならう必要はありませんよ。
さてさて、感想ですが、読み終わってみると、残念ながら、本の帯がなにやらちょいと煽りすぎな気もする読後感でございました。
冒頭、ミイラに突き立てられた宝飾付きナイフが物語り後半で意味を持ち始め、殺され(てミイラ化し)た人物と、主人公・峰たち一行を助けた部族、及び彼らと敵対するテロリストたちとの関係を読者に匂わせるところとか、物語全体の謎解き、原発や放射線といったタイムリーな話題も偏ることなくよく調べてあって、たいへん秀逸でよかったんですが……
なんていうのか、ベースはいいのに味付けを間違えた感が、後半へ進むほどにひしひしとわきあがってきました。
まず、主人公である峰さんがアホすぎ。
ヒロイン的位置づけのシャリファもアホすぎ。
峰さん、シャリファの気を引きたいからってよく考えずに行動するのはやめたほうがいいよ。
シャリファ、敏腕スパイなのに、どうして日本語くらい予習してこないの?てゆーか自分の母語以外わかんなーいって、スパイとしてやばくないですか?
永井さんとアフマドの人物造形は良いのにね。
とくに物語最後の方、アフマドが峰さんたちに追いついたのに撃たず、そのまま自殺行為ともとれる事故を起こして死ぬ場面。自己中で目先のカネのことしか頭にないイヤなヤツだったけど、テロリスト側についたものの、母国の未来を考えたら、峰さんたちを死なせるべきではないとどこかで気づいたんでしょうね。
それにしても、何なの下村先生、今回はハリウッド大作でも目指してみたんですか?
それにしては、アクションシーンで峰さんがほとんど役に立ってない気がするんですが…
シャリファとの恋愛模様も、ヘタレすぎて見てらんないんですけど。
最後の「ごほうびH」?ってやつですか?
あれもとってつけたみたいな感じで、もうね、読んでる方が痛々しかったです。
苦手だったら肝心な場面は書かずに、「そういうことがありました」って匂わせる程度で終わっておけば良いのに、編集さんから何か言われたんですか?
「先生、今作は謎解きだけじゃなくて、ハリウッド映画みたいな、お色気ありーのど派手なアクションありーのって感じの大作めざしてみましょうよ!」
みたいな。
謎解きとアクションはともかくとして、お色気とか恋愛は先生の作風じゃないと思うんですが。
男性読者諸氏は、こういうとってつけたような書き方でも、「うひょ~♪」ってなるんですかね?
まあともかく、次回作はごく普通の謎解きサスペンスミステリを読みたいなぁと思ったことでした。
0 件のコメント:
コメントを投稿